ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

なぜに低い

カルチャーセンターで教えていますが、それでいいの?とお叱りを受けそうなくらい緩〜いレッスンをやっております。

 

で、色々と曲をやり尽くして(といっても難しいものは避けているので、やろうと思えばいくらでも曲はある)どうしたもんかなぁと思っていたら「ミュージカルの曲をやってみたい」と、生徒さん。

 

ミュージカルといっても色々ありますし、何となく耳にしたことがあって、カラオケでも歌えて…どんな曲があるのだろうといつものように(メルカリで)楽譜お取り寄せ。

 

この曲だったら生徒さん、歌いたがるだろうと2、3曲ほど見繕ってみましたら、なんて低い音程なんでしょう。というわけで移調。とりあえず、すぐにやる曲を4度上げました。(♭1→♭2つ)

 

楽譜にある他の曲も見てみたら

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こんな具合に低い。ソの音が最低音でした。

 

生徒さんには移調前の元の楽譜を見てもらってるんですが、見てすぐに「この音では低くて歌えません」って。

 

参考にするためにYouTubeで音源を聞いたら、なんとなんと。楽譜より更に低い調。

「どうしてこんな低い音なんでしょうか?」と生徒さん。

 

それは地声発声だから…なんですよね。一説によるとミュージカルは地声と頭声をミックスさせた発声だとか。ミュージカルとオペラは似て非なるもので、発声は違います。(だからといってオペラの発声が頭声というわけではない)

 

オペラで女性が歌うものでは、なかなかあんな低い音は出てきません。ちなみに歌謡曲もミュージカルとほぼ同じ音域で書かれています。

 

生徒さんには、カラオケでこの曲を歌う時は2〜3度上げなさいねと伝えました。

得意な音域で歌うのも上手に歌う秘訣です。

 

ただし、オペラアリアなどは(一部を除いて)移調はしません。調に限らず『楽譜通り』が鉄則です。

得意な音域に変化させればいいのでは?と思いますが、オペラ1本、全体で1曲と考えるので、途中のある曲だけを移調というのは(一部を除いて)ありません。だったら同じ音だし1オクターブ下げれば?も、あり得ません。従って、自分の声に合わない役はやれません。(多少合えばやっちゃう場合が多いけど)

ミュージカルもオペラも、どちらもちゃんと訓練しないと歌えませんね…