ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

合ってるけど、入って来なかったのよ。

今回、ミミを歌い終えて感じたことは

「歌った気がしない」

ということ。

私、ちゃんと歌ってましたっけ?

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ロドルフォやマルチェッロ役に比べると少ないかもしれないけど1幕から4幕まで全幕に出ているので、出番としては多い方。

 

なんで歌った気がしないのだろう?と思ったらアクートが1箇所だけなんだよねぇ。

1幕の一番最後の音がそう。袖に引っ込んだところで歌うCの音。

 

今回、一番怖かったのは1幕の出。

一番最初の「Scusi」

なんてことない高さなのに、なかなかハマらない。その後に続く「di grazia …」も、なかなかリズムに乗れなくて、何度もコレペティ稽古したけど、お前バカか?というほど入って来ない。

 

そういう時は何か理由があって、その理由を見つけられたら克服できるのに、理由も分からない。

しょうがないから、覚えるまでバカ正直に間違いを繰り返して叩き込むしかない。相手役にもご迷惑をお掛けしました。

 

発声上、難儀したのは3幕のある部分。アクート下の音。

これは一人で練習してる時にドツボにはまってしまったので、稽古場に行くと何とかなるだろうと思っていたけれど…

難儀した理由は高音に充てがわれている母音のせい。後から出てくる同じ音でも母音が違えば難なく歌えてるのに。そうなんだけど、理由はどうもそればかりでもなかったみたい。

 

1幕ミミのアリアも、歌った感じがしないのよねぇ…

3幕のアリアも。

それより3幕の別れの四重唱、前日のゲネプロでも、めちゃめちゃに間違えてヒヤヒヤでした。共演者にはご迷惑をお掛けしっ放しで…

稽古では、パニックになってリズムが分からなくなった私の背中を、ポンポンと優しく叩いてそっと教えてくれたり、私の歌い出しに合わせて息を吸って教えてくれたロドルフォのモッチーさんには感謝です。なんて優しいんだ!

ヒヤヒヤだったけど、本番だけはまともに歌えました!!

 

で、録音を聞いてみたら、ちゃーんとミミを歌ってた。

気にしてた1幕の出は旦那ちゃんに「合格」と言われたし、何にも気に病むことのない演奏でした。

 

でも歌った気しないのよ。

1日に2公演、いけるんじゃない?

って思うほど。

 

自慢でも何でもなく、これは私の声に合ってるってことなんですよね。ストレス無し。そういう役に出逢えたのはラッキーです。

でもなんで音楽が身体に入るのが遅かったんだろう???

 

来年は『愛の妙薬』アディーナ。

これまた出っ放しの役です。頑張ります。