ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

私には苦行

一般の方には理解されづらい話かもしれません。私には憂鬱になるくらいの話。

 

娘がもうすぐ小学校卒業です。

最後の親睦会ということで、親も何か出し物をするそうです。

それはいいんです。何がいいか考えてくれたんです。それはやるんですが、

 

あるドラマの主題歌になったという曲を合唱するそうで、歌詞を載せたものを渡されました。

楽譜ではなく、歌詞のみです。

 

私、この曲を聞いたこともありません。テレビ見ないし興味もない。(そもそも、うちのテレビの付け方を知りません)

なので、曲の情報は何一つ知りません。

YouTubeで聞いて覚えてきてください、ということでした。

 

で、聞いてみたら、

 

申し訳ないですが、

 

歌い出し2小節ほどで断念しました。

聞いてられない。

 

早々に断念した私を見た息子が

「やっぱり?ママは全部聞けないと思ってたよ」ですって。

さすが、よく分かっています。

 

しかもこの曲、男の人が歌ってるんです。

男声のキーで聞いて音を取れということなんです。1オクターブ上になるんでしょうけど、それで果たしてまともに歌える音域なのか。

 

ヴォイストレーニング講師をしていて感じることなんですが、学校を卒業して長らく歌うことから離れていると『喋り声』で歌われる方が多いのですね。その声だと低い音は楽々歌えるので、おそらく、そういった方は男性の音域でも大丈夫なのでしょう。でも私は恐ろしくて『喋り声』では歌えません。

 

まともに歌うには次にどの音が来るか知らなければ歌えません。メロディを知らずして歌えないのです。歌詞カードのみでは、曲を完璧に知っておく必要があります。うろ覚えで歌っては喉に負担が掛かるからです。そういう状態で歌えだなんて、苦行を通り越して何というか…

 

楽譜があれば(新曲視唱は苦手ですが)予測は付き、暗譜状態でなくても歌えます。楽譜を見ればどういう曲か分かるので、歌うための身体と喉の準備は出来ます。

 

皆さん聞いて覚えられるんでしょうか。とてもとても私には無理です。

楽譜という素晴らしいツールがあるのに、何故わざわざ難しいことをさせるのでしょう…

 

ついでに紛らわしい表記が。

お便りには『合唱』とありました。

メロディ以外のパートはどうやって音を取るんでしょう?まさかYouTubeで聞いて複数パートを聴音?私には出来ません。

 

みんなで同じメロディを歌うのなら、それは『合唱』ではなく『斉唱』と言います。

きっと斉唱ですよね?

 

 

というわけで、楽譜をくれるようお願いしているところです。楽譜があれば、音取り作業は効率良く済みます。曲の情報は全て楽譜に記されています。

苦行にならないためにも楽譜は必要なんです。