歌い手をアテにするなかれ。
オペラでは、一人で歌うわけではなく、いくつかの役や合唱など、自分以外のパートの人間が歌い継いでいく場面はよくある光景です。
ついついやってしまうことなのですが、自分の歌い出す箇所を「○○さんの役が出たら」「合唱が△△と歌ったら」などと、歌い手きっかけで覚えるのは厳禁です。
もちろん指揮者がタイミングよく出だしを指示してくれる場合もありますが、それを見ていたのでは演技になりませんし、歌い出しの準備も間に合いませんし、指揮者の指示は保険みたいなもので、自分で覚えて歌うのは当然のことです。
ところが、何役も絡む場面になると自分の箇所が分からなくなってしまうのですよ。
歌い出しを歌い手基準で覚えてはならないのは、その歌い手が落としてしまうことがあるから。
アテにしてた歌い手が間違えてしまったり、ちゃんと歌えなかったら、自分も間違うことになります。
そう。
歌い手をアテにしちゃならんのです。信用するなかれ。
では、何をアテにするのか。
音楽を支えるオーケストラです。楽器の人たちです。あの人たちは楽譜を見てますからね!(楽譜を見ていても間違う私って💦)
ですから、稽古の時からコレペティのピアノを聞いて覚えるのです。
それでも、現代曲などなかなか音楽が身体に入らない時もあります。そういう時はどうするか。
数えるのです。
自分が分かるところから、その歌い出しは何拍目にあたるのか、ひたすら数えるのです。
楽器の方はよく数えていますよ。
何たって、何小節も休みが続いたりする場合もあるんですから、ボヤボヤしてると通り過ぎてしまいます。オーケストラ奏者で出番の少ない楽器(おそらくパーカスの方かと)の方が休符が多過ぎて、眠ってしまった人がいたとかいないとか。オペラだと死体の役でもない限り、眠ってしまうのは至難の技ですね。