ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

なんでもオペラと言わないで

そんな細かいこと言わないでと言われてしまいそうですが、声楽全般の演奏を「オペラ」と言う方がいます。

それを聞くたび「や〜め〜てぇ〜」と思います。

 

オペラとは「歌劇」のことです。

「オペラをやる」となると、かなり大掛かりになり一人の力では当然上演できません。「劇」の要素もありますから歌い手には役が付きます。一人しか出演しないオペラもありますが、大抵は他の歌い手さんも必要ですし、舞台装置も衣装も必要になってきます。作曲家はオーケストラで演奏するように書いてますから、楽器の人たちも必要です。上演するとなると、とにかく大変です。たくさんの人が関わることになります。当然お金も掛かります。

 

大変さを知っているので、ちょっとどこかで頼まれて一人で歌うのを「オペラやるんですね」なんて言われたら、もうホントに「やーめーてー」なんです。「オペラじゃないからー!」なんです。

 

例えばなんですが、歌舞伎役者一人に日舞をやって貰う企画があったとしましょう。

「歌舞伎やるんですね?」なんて言わないですよね?

 

ミュージカル俳優一人に歌って貰う企画があったとします。

「ミュージカルやるんですね?」とは言わないですよね?

 

お医者さんが学校へ訪問医として健康診断に行ったとします。

「手術やるんですね?」とは言わないですよね?

それは例えとして飛び過ぎてない?と思われそうですが、そのくらいの勘違いなんです。

 

ちなみに手術のことを「オペ」と言いますが「オペラ」と語源は同じかと。

オペラとは本来は「仕事」という意味なんですよ。そういう意味では、何でも「オペラ」ですね。