ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

少子化を止めろと言われても。

もうだいぶ前の、20年くらい前の話だけど。

 

当時、ある歌い手の団体に所属していて、ある時に先輩方や指導の方々やら、何かで一堂に会することがあったんです。

 

圧倒的に女性が多い音楽の世界、たくさんの女性に向かって年配の男性が

「これからは、君たちも少子化を止めるために貢献して、子どもを産んで貰わないと」

みたいなことを言ったんです。

 

そしたらどんな反応が返ってきたか…

反感を買うのは必然。

 

「だったら産んで育てて歌っていけるように、この団も子どもを産んで育てやすい環境にしてください」

 

当時、私は20歳代で「あぁ、いつか産まなきゃなぁ」などと悠長に考えてました。

 

意見を言った方、先輩は、お子さんがいらっしゃるのかいないのか、全く存じませんでしたが、子どもを産むにはもうスレスレの年齢だったのかもしれません。

もしかしたら出産するかどうするか、悩みに悩んで諦められたのかもしれない。

能天気に考えていたので、現実を見据えた意見にハッとしました。

 

産むと身動きできなくなるのは当然のこと。

産んですぐ、産む前と同じ状態(身動きがしやすい状態)にしたいといっても、物理的に無理だったりするわけで…

 

環境を整えるのも大事だけど、子を産み育てるのは自己犠牲が伴うってことを、産んでから気付いた私はおマヌケさんです。