ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

景色が違う

気が付けばもう3月。

確か先月は庭のバラの手入れをしようと思っていたような…。出来るはずもなく3月です。

 

ボエームの稽古は少し間が空きました。稽古をするにも皆さんの予定が合わず断念。本番ラッシュなんです。売れっ子さんが揃っているので仕方ありません。一人で黙々と、たまにピアニストさんに手伝って貰いながら頑張ってます。

 

ミミは全幕やるのは初めてです。部分、部分で歌うのと全部を通して歌うのとでは全く景色が違います。

そして、お客さんとして聞いていた印象と、歌ってみるのとは違う。

 

4幕のミミがロドルフォにどんなに愛していたかを語るシーンでは、感動的でずっと歌いたいと思っていたんです。

で、歌ってみるとアレ?こんな歌だった?

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この1ページに思いが込められているんですけどね…

「あなたにたくさん言いたいことがあるの、それはたった一つかもしれない…でも海のように大きくて、海のように深くて果てしないもの…あなたは私の愛する人、私の人生の全て…」

って歌うんです。

 

 

で?

続きは?

 

 

眠ったふりまでして二人きりになって、言いたいことはこれ?他にもあるよね???

 

音を付ける前に楽譜を見るんですが、この時に訳を書かずとも(私の語学力で)分かってしまう簡単なイタリア語に、アレ?と思ってしまったんです。(確かに素敵なことは言ってるんだけど)

 

で、これからもっと凄いこと言うよね?と思ったところでロドルフォが「ああ僕の素敵なミミ!」それに答えてミミが「私、まだ美しいかしら?」

って、おいおい…

 

言葉だけ追ってたら、え???と思ってしまうんです。

 

ですが、これにプッチーニの音楽が付くと、ミラクルが起こります。

とってもロマンチックで素敵なシーンになるのです。

 

だからこそ、難しい!!!

 

頑張ります。