ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

歌い手の都合だけではダメです

やっと、やっと、納得のいくものが出来上がりました。

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歌唱マスクです。

 

歌唱マスクはたくさん出ていますね。

鼻の脇に何かを挟んで空間を作ったもの、顎の下の布がヒラヒラしているもの…(普通のマスクでもそういうのありますが、マスクの意味を為してないと思うのは私だけかしら?)

確かにそれらは歌い易いです。隙間たっぷり歌い手都合の歌唱マスクですから。

でも、隙間があっては不安です。

 

合唱団員みんなが安心して歌えるマスクが欲しい。

そうして開発に開発を重ね、やっと納得のいくものが出来上がりました。

 

何より工夫したのは、口元の拳一つ分の空間。

しかもその空間は保たれてなければなりません。歌っている(息を吐いている)間は大丈夫でも、ブレスをとった時に口に張り付くものではいけません。

これは掃除機並みに息を吸っても布が口に張り付きません。(改良の過程で、私の吸う力はダイソン並みということが、よーく分かりました)

 

そして口元の空間が保たれるということは、口が自由に動かせるので発音や発声を妨げないということもあります。頬も上げやすいのでマスケラに響かせられます。つまり、いつも歌っている状態とあまり変わらない。歌う側からすると、とてもいいマスクです。

でも、それだけではダメなんです。

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画像では分かりづらいですが、赤い丸で囲ったところは肌に布が付いています。隙間は開いていません。

大きく張り出した布は胸元から首の後ろまでカバーするので、既存のマスクに比べて鼻の上や顎の下、首の横から空気がだだ漏れしません。

 

口元の拳一つ分の空間はどうやって作られているのか、しかも布が動かない。

たぶん他のマスクではこのようなものは無いと思います。実際にこのマスクを手に取ったら、その仕組みは分かると思いますが、作るのは手が込んでいて面倒…

耳のゴム部分の布が浮いてしまうのを避けるため、どのくらいの長さにしたらいいのか研究し、顔周りに立体的に布が来るため型紙の形もかなり複雑になりました。そして布地もけっこう使います。一つ作るのに1時間も掛かってしまってます…(これは単に私が不器用なだけ)

 

私一人では成し得なかったことです。

協力してくれた団員さんには感謝。

 

個人的には

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このくるみボタンが気に入ってます。かわいいんですよ。