ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

どこの玄人ですか!!

ソプラノ歌手・川上真澄です。

 

着物が好きで若い頃はよく着て出掛けてました。最近では式典とか何かが無いと着ないですね。

着物はとにかくメンテナンスが必要。ほとんどやってませんが…

で、着物好きだとなると、なぜか着物が集まってきます。これが単純に喜ばしい…ことでもないのが困ったところ。

着物は着る人に合わせて仕立ててありますから、身長や体型がほとんど同じでないと着れないんですよ。それでも自分より大きな人の着物だったら大は小を兼ねるで工夫して何とかなるんですが、小さかったらもうアウト。

 

そうやって箪笥の肥やしになった着物をどうしようか…ということで、私と母の間を行ったり来たり。祖母や大叔母の着物です。

 

祖母がまだ生きていた頃、私がまだ20代の頃、紫を基調とした縦縞の粋な着物を祖母の箪笥で見つけました。というか、物色してたら出て来ました!!

「ばあちゃん、これ良かたい!頂戴!!」

とにかくカッコいい着物でした。縦縞でも可愛らしい雰囲気のもありますが、これは何かの玄人さん的な粋な感じです。

「お前にはまだ早か!もう少し歳取ったらやるけん」

というわけで、お預け。

 

子どもを生んだ後で、30代半ばになった頃にようやく私の手元に来ました。

 

でもね、もうその頃は「着物を着てお出掛け」なんてしてる暇はなかったんですよ。

小さい子がいると一人でどこかに出掛けるって本当に皆無になります。それでも、私は周りの協力があったので研究会やレッスンに出掛けたりしてましたが着物を着てお出掛けすることは無くなりました。

 

で、その着物。

改めて見ると、私、もう着れません。

 

玄人過ぎるんです!!!

舞台衣装みたいなんです。

 

20代のうちに着るべき着物だったんですよ。

祖母は40代か50代で着る着物だと言ってました。が、それは昔の人の感覚。

 

その着物は娘である母に引き取って貰いました。

でも母が着るわけでもなく。普段から着物を着るような生活をしていたら着ても違和感はなかったかもしれませんが…やっぱり舞台衣装なんですよ。

舞台衣装のようだとはいえ、それを私が着て歌うには地味というかチグハグ。

 

しばらく母の箪笥で肥やしになってましたが、そういうのを引き取ってくれる業者さんがいるということで、旅立っていきました。

 

思い出に写メでも撮って貰おうかと一瞬考えましたが「惜しい」という気持ちを残すのも何なので辞めました。