乙女はいけない?(コンサート・その8)
『乙女の祈り』は宗教的であるとして、共産圏の支配下にあったポーランドでは演奏禁止になりました。
歌詞があるわけでもないし、グレゴリオ聖歌的な音楽でもないこの曲のどこが宗教的なのでしょうか…
タイトルに付けられた『乙女』がいかんのだそう。
日本人のイメージする乙女は、うら若い可憐な少女、といった感じですかね。
例えばこんな花のような…
(庭植えしていたヴィオラが、しぶとく生きてました!)
一方、ヨーロッパでは『乙女』というと『聖母マリア』のことを指します。
簡単に説明すると
(ポーランド語は分からないのでイタリア語で)
乙女の祈りをイタリア語では、
La preghiera di una vergineと言います。
祈りに当たる部分がLa preghiera
乙女に当たるのが una vergine
そう、vergine です。ヴェルジネって読みます。
英語読みしてみて。
聖母マリアは処女で受胎しました。ですので、聖母マリアのことをvergineと表現するのですかね…いや、逆かな。聖母マリアのことをVergineって言うから…?ま、言葉のことは分かりませんが、Vergineが聖母マリアを意味するのは間違いありません。
ポーランド語でのタイトルも乙女に当たる部分は、このvergineに相当する言葉が付けられているのでしょう。
そういうわけで、ちゃんと訳すと『聖母マリアの祈り』となるわけです。
ポーランドでは禁止されている間に、この曲は忘れ去られてしまいました。演奏できる世の中になったら、音楽評論家や音楽学者たちによって彼女の作品は価値のないものとしてこき下ろされました。
そういうことも加わって、日本のみ、それもピアノを習い始めて中級あたりに差し掛かった子どもたちによる演奏が主流に。日本にはそういった学者たちの『こき下ろし』は届いていたのかどうなのか。
しかしながら、音大生でレッスンに『乙女の祈り』を持っていった、という話は全く聞きません(たぶん怒られるんじゃないかしら)皆、子どもの頃に弾いて、音大時代は他にやらなければいけない曲で大変になりますから。
そういうわけで『ガラパゴス的』に残ったのかもしれません。
そうは言っても、この曲が生まれた頃は、たくさんの方に愛されたミリオンセラーだったわけです。全く価値がないとは言いきれないと思います。
聖母マリアの祈りというタイトルの曲に、アヴェ・マリアの祈りの歌詞を付ける…
思い付きで始めたことですが、こんなにしっくり来るものが出来上がるとは夢にも思いませんでした。
なかなか可愛らしい歌になりました。
そういえば、コンサートから2週間が過ぎました。お客様から報告は受けてませんし、私もピアニストもスタッフも元気なので、コロナの感染は無く、無事に乗り切ったということですね。
ありがとうございました😊