1日公演のわけ。
3000円でオペラ公演をすることに心配してくださった方が「何ヶ月も練習するのに1日公演?」って。
もったいないです。本当、もったいないですよ。
でも、ダブルキャストとかでないと何日も公演出来ないんです。
よく、オペラ歌手をボクシングとプロレスに例えるんですけど、私たち、ボクシングしてるのと同じなんだと思います。連日で試合って、考えられないですよね?(プロレスも連日は無理?)
実際は本番の前日にゲネプロを行なってるので、2日連続で歌っています。たぶん、これが限界です。これがもし2日公演となると、3日連続になってしまい死にます。
だったらゲネプロをやって、1日空けて公演すれば?と思われるかもしれませんが、そうすると何もしないのに会場を押さえてないといけないことになります。
ゲネプロ終わって、一旦、大道具などを舞台から引き上げて…なんて出来ません。どんだけ人件費が掛かるんだって話になりますし、中には公演が終わったら道具は壊すということもあります。それに、楽屋には衣装も置きっ放し。会場はどうしたって借りっ放しにしないといけないです。
ダブルキャストにすると稽古も倍必要です。
そうやって色々考えるとシングルキャストで…ということになります。
だったらゲネプロを公開にしようよ!と言う声も聞かれますがゲネプロはゲネプロです。本番を迎える前の最後の通し稽古です。ゲネプロを見せられるのは関係者のみ。演者や裏方は、お客様に楽しんで頂くために最後の調整に入っているのですから、公演団体のための演奏です。
ゲネプロをお金を取って見せていては、それは公演と同じこと。ゲネプロの前にゲネプロが必要になります。
研究生時代は某歌劇団のゲネプロをよく見せて頂きました。私の場合、ゲネプロだけでなく稽古場のある建物をよくふらついてたので、出演されている歌い手さんに声を掛けられ稽古も見学していました。もちろん本番も見ましたよ。(学生にとっては両方見ることで勉強が完了すると思ってます)
その時の経験がどれだけ勉強になったことか。
なんて言ったら「ほら、ゲネプロを見せるのはいいことじゃない!」と言われそうですが、
オペラ歌手でもないお客様がゲネプロを見てどうするの?と思います。それにゲネプロを見て「ああだった、こうだった」と感想を言われたとしたら…
しかしながら同業者間で「ゲネプロ見せて」はよくある話です。私たちはそうやって、互いに切磋琢磨しています。