ソプラノ川上真澄のオペラな生活

ソプラノ歌手の日常を。

クレクレ対策〜友人のために

他のブログで人気の高かった記事です。

こちらに転載いたします。

 

 

「あたしもクレクレされたー!真澄さんの気持ちが分かったよ!」と、仲良しのお友達。


無料で演奏しろと言われたそうです。
楽器は違いますが彼女も演奏家

やはり憤慨しています。


お気の毒に…
またもや被害が出てしまったんですね。

お陰で、こちらはその施設は要注意!ということが分かったので、気を付けようと思います。


この手の話は熱くなってしまうのですが、憤慨してる友人に上手く伝えきれなかったので、こちらでゆっくりお伝えしようと思います。


実際に無料演奏の依頼を一般に募集するのではなく、指定してお願いされている方や、無料演奏を専門にされている方は、ここでお引き取りください。


これは無料演奏を依頼されて憤慨している友人や、同じような思いをしている方に宛てたものです。

特に演奏に限らず、無料で依頼している方は「自分が悪く言われた」と受け取り、ご自分のなさっていることを正当化しようと攻撃的なコメントをされる傾向にありますので、お引き取り願います。


ちなみに私に言ってきたクレクレさんは、見ず知らずの人で、いきなり話し掛けてきて


「奏者は報酬無しで、交通費も出しません」

というツワモノでした。


「私に演奏して欲しいのなら、私には報酬はいりませんが、せめて伴奏者には出してください」と言うと

「伴奏者にも出しません。伴奏者が必要なら、うちの施設にピアノを弾ける人がいる。伴奏ならこの人に」

と、とんでもない要求をしてきました。

その施設の伴奏者も、ただ働きさせようという魂胆です。この人、どんだけ偉いんでしょうね?

 

長くなります。
最初に分析して、その後、対策を。


この話題、信じられないことですが一部の演奏家からは不評を買います。


「無料演奏しづらくなる」んだそうです。
演奏する場を奪われたと感じて激しく攻撃してきます。

無料演奏したいのなら渡された謝礼金を寄付としてお返しすればいいのに、それはしないおつもりらしい。

もしかしたら「いりませんよ」と言って演奏を請け負って、それではいけませんからと言って渡されるものを期待して演奏しているのでしょうか。

「いらない、いらない、あ、くれるの?じゃ貰っとく」こんな具合かしらね。

 

さてね。
可笑しな話だと思いません?


『無料』で演奏して欲しい人がいて、
『無料』で演奏したいって人がいるのに、
なぜマッチしないんでしょうね?


こういう話にかこつけて、断られただけなんじゃなかろうかと…。こちらに八つ当たりされてもねぇ。


忘れてはならないのは、
施設側も演奏家を選んでいるということ。

 

無料の演奏家を募集したら、色んなのが集まってくるでしょ。
だから、目ぼしいのを見つけたら「無料で演奏して」と声を掛けるんでしょう。
演奏をお願いしたいくせに、無料でとは図々しい。これは『たかり』ですね。


「無料で依頼された」ということは、
演奏活動をしているから依頼が来るのであって、演奏活動をしたくても出来ない人や、してない人、無料演奏を掲げていても依頼が来ないという人からすると、かなり羨ましい状況と言えるのかもしれません。自慢していると感じるようです。


中には
「売名行為できて良かったですね」
という頓珍漢なコメントまであったのですから、少しでも名前が知れると演奏の依頼が来るものだと勘違いしているあたり、よっぽど演奏する機会や場所がないのだなぁと可哀想になります。


「無料で演奏するのが嫌ならば、断ればいいだけのこと」なんて言う方がいますね。


単純に物事を考えられて羨ましいですね。
真剣に考えているからこそ、簡単に断るということが出来なかったりするんです。
それに実際に体験しないと、この悔しさは分からないのかもしれません。


そして、この手の話題をSNSに載せると「搾取しようとした方が正しい」というコメントが来ます。

信じられない話ですが、つまり「ボランティア演奏しない方が悪い」という風潮がある。

普通に考えると搾取しようとした方が悪いのは明解です。泥棒行為ですから。


では、どうしてこんな逆転現象が起きるのでしょう。


ということで、分析してみましょうね。
分析しておくと、対策は楽ですよ。


仕事として演奏活動を行なっている場合、その対価として代金を頂戴いたします。これを読んでる方はそうですね。


演奏や技術を「無償で」と言われると「お前の仕事にはお金を払う価値は無い」と言われていると私たちは感じるわけです。


大変な侮辱ですよね。


頼んできた人は特別、貧乏そうでもないのです。むしろ、私よりも稼ぎはいいでしょうね。


声を大にして言いたい。
貧乏人に、たかるな!!
貧乏人から搾取するな!!
恥を知れ!恥を!!


…失礼しました。

 


無料で頼まれるということは実力が無いから、つまり、いい演奏してないからという意見があったのですが、無料=価値がないのなら、なぜ「演奏してくれ」と言うのだろう?と思います。いい演奏じゃないのをわざわざお願いして聞きたいだなんて、どんだけMなんでしょうね?


声を大にして言いたい。
いい演奏じゃないのなら依頼なんてするな!!


…失礼しました。


しかも「無償で働け」とは…


声を大にして言いたい。
私はあんたの奴隷か?
何様じゃ?


…失礼しました。


それに、
演奏する場を提供してやってる
という、人を見下した態度も感じます。


色々考えていくと、
侮辱以外の何ものでもない。


また、他人の時間と労力を平気で奪おうとする行為にも腹が立つわけです。泥棒です。


中には『料金表を掲げてないから言われても仕方ない』という意見もあったのですが、これにはどう思いますか?


皆さん大体の相場は決めてあるんですよね。
依頼される方も様々だし、色んな事情もあるし、演奏時間や曲目や場所など条件によっても変わってくるし、いちいち値段表なんて掲げてられないというのが本音ですよね。


それにしても、
料金表が無かったら無料なんですかね?


スーパーで値札が付いてなかったら、お店の人に尋ねますよね?それとも私たち、値札付けて演奏しなきゃいけなかったかしら!!


それにね、掲げてたって「無料で」お願いしてくる人はいるんですよ。

料金表を掲げるか、そうでないかはそれぞれの判断で。掲げたい人は掲げればいいのです。

でも、このことと「無料」でお願いされることは別な話。
つまり論点がズレてますし「掲げてないから言われる」というのは「イジメられる方が悪い」と言ってるようなものです。「スカート履いてるから痴漢に遭うんだ」と言ってるようなもの。


ここまでは、どなたでも理解できると思います。問題はこの先。


演奏を無料でお願いしてくるのは、大抵、どこかの施設の方です。

その施設に入ってる方のために演奏して欲しいと言ってくるわけです。


そう。
自分のために演奏して欲しいわけではない。


しかも、施設の人が喜ぶから!と、自分は素晴らしい提案をしていると思っているわけなんですよ。

これが逆転現象を起こしてるんです。


だからね、
すごく失礼なことを言っているのに、良いことをしていると思い込んでいる姿を、まざまざとこちらは見せつけられるわけです。

なので、
非常に腹が立つのですよ。
「それ勘違いですよ」と言ってやりたくなる。


慈善事業ということで、こちらの良心に訴え掛けるので、一瞬、演奏しないといけないんじゃないかとこちらは思うわけですね。

そういった、こちらの良心を人質に取ってるんです。いやらしいですねぇ。


しかも、自分が出来ないことを人にお願いしているということや、自分はその施設から給料貰って利益を得ている、つまり自分はボランティアしてないということを忘れちゃうんでしょうね。もう、忘れん坊さん!


それでもって依頼しておきながら、自分の懐は痛めたくない。腹黒いですねぇ。


演奏家が無料演奏したいと言ってるんなら商談成立でしょうけど、そうでなければ、単に利用しようとしてるだけ。


私たち、そういうことに憤慨してるんだと思います。


実際に
「命とお金を天秤にかけるなんて」
というコメントを頂いたのですが、こういう人たちは自分がどれだけ人を見下しているのか、人の善意につけこもうとしているのか、気が付いてないのです。

自分はその施設で働いて給料貰ってるんだから、天秤に掛けてるのはどっちじゃ!と言いたくなりますよね。この矛盾に、どうして気が付かないのでしょう。もう、おバカさん!


こういう偽善者を相手にするのは疲れます。
友人もさぞかし疲れたことでしょう。今度会ったら「老けたね」と言ってやろう。


なので、こちらとしては、
『断るのもストレス』
『受けるのもストレス』

という状態に陥るわけです。

 


「この野菜、無料で頂戴」と言われたら、

何であなたに?!と思うでしょうけど、


「この野菜、恵まれない人たちのために無料で頂戴」と言われたら

提供しなきゃいけないって気にさせられますよね。


こうやって、巧みに第三者を登場させることで逆転現象を起こしてるのですね。

私たちの善意の気持ちを利用してるのです。


寄付したかったら、

自分が購入して寄付すればいいのよ。

 

そう、

演奏して欲しかったら自腹切って演奏家を呼べばいい。


私たち演奏家も寄付したい施設では無料演奏してるものねぇ。これは自分が購入して寄付しているのと同じこと。


そしてね、
誰かのために何かしてあげたいって、素敵なことだと思う。

だったら苦労しなきゃいけないのは誰?
労力を厭わず動かなきゃいけないのは誰?


自分は楽をして「〇〇のために 」なんて、ちゃんちゃら可笑しいでしょ。
そのために人に動いて貰うのだから、どうしたらいいか自ずと判ると思うのだけどね。


でもね、

不特定多数の方にボランティア演奏の募集をするのや、被災地などがボランティアの要請をするのはいいと思います。というか、一般になら、募集して当然と思います。これは『たかり』ではありません。誤解の無いように。


無料で演奏したい人やボランティアしたい人もいるのですから、そういう方の目に留まることでしょう。


大々的に募集したら、演奏したい人が集まってくるんじゃないでしょうか。その方がよっぽどお互いの思いがマッチしていいと思うのに、なぜ『狩』に出るかなぁ。


先にも書きましたが、ある程度、演奏家を取捨選択したいのでしょうね。それに「無料演奏させるな」というたった一人の声に自分の演奏する機会が奪われたというのならば(私にそんなに影響力はないと思いますが)それは選ばれなかっただけなのです。現実を知りましょう。責任転嫁しないでね。


こういう話題になると、何でもごちゃ混ぜにして意見をしてくる人がいるものです。

もう分かっていると思うけれど、
これは、
料金を頂いて利益をあげている施設などが、個人宛に、指名して、無償労働しろと言ってくる話。


もしかしたら利益なんてあげてないと言われるかもしれないけど、職員には給料出してるし、入居者はお金払ってるでしょ?


こうして無料依頼が叶ったあかつきには、
依頼してきた人にとっては、

施設の人に喜ばれて、職員からも無料演奏者を連れてきたと感謝されて、演奏家には場を提供してやったと優越感を味わえて、自分の懐は痛くも痒くもなくて、とってもご満悦。


自分は違う!という声が聞こえてきそうですが、そう思われても仕方がないと思いますよ。


実際に無料演奏をしろと言われた方、
頼んできた人に『誠意』はありましたか?


雲の上のような存在の演奏家に演奏をお願いしようと思ったら、おそらく、出演料も含めて、その演奏家がどうしたら来てくれるか頭を悩ませ、気持ちよく演奏して頂くためにどうしたらいいか色々と考え、丁寧にお願いするんだろうと思います。


この程度の演奏家なら無料で来るだろう、
むしろ演奏する場を与えてやってるんだ、


施設の人には、この程度の演奏で満足するだろう、何もわざわざ高級なものを聞かせる必要もない、

そう思ってるから、平気で無料演奏をお願いできるのです。


色々と事情があって、どうしても予算が出ないというのなら、

それを丁寧に演奏家に説明、説得したでしょうか?
どうやったら、お互いがwin-winで気持ちよく企画を進められるか真剣に考えたでしょうか?


少なくとも私に頼んできた人は、真剣さも、施設の人に対する誠意や愛情も、何一つ感じませんでしたよ。


さて、
ボランティアは自ら行うものであって、無償労働を強いるのは強制労働と言います。


では、
このように強制無償労働させられそうになったらどうしたらいいか。


「断ればいい話だ」と単純に言える人のように、さらっと、都合が…とか言ってお断りするのがいいんですが、

上記で分析したような色んな感情が、モヤモヤとあるんですよね。


なのでね、
「なぜなぜおうむ返し作戦」でいきましょうよ。


相手が言ってきたことに「なぜ?」「どうして?」と聞き返すのです。


「無料でやってくれない?」

「なぜ?」と返す。

すると、予算が…とか言ってくるでしょうね。


そしたら
「予算がないのに、なぜ欲しがるの?」と聞くのです。


相手はきっといいことを言ってきますよ。

「だって、とってもいい演奏をしてたから、施設の人が喜ぶと思って」


「いいものなのに無料なのは、どうして?」
「いいものにお金を払わないのはどうして?」


そしたら、色々言い訳してくるでしょうね。
「その分の予算を施設が用意してないのよ」とか。


そしたらまた、なぜ?って聞いてみる。

「用意してないということは、必要ではないと見なされているものですよね。それをわざわざ欲しがるのはなぜ?」

「予算云々は私の一存では…」

「私の一存では決められないことなのに、私の一存で演奏を依頼してくるのは、なぜ?」

「その施設で働いている人には給料が出るのに、外部の人間には無料で働きに来いというのは、なぜ?」


こんな具合に、
「なぜ?」「どうして?」と返していくんです。


なぜ?どうして?
でなくても、思いつくままに質問するのもいいでしょうね。


「欲しいものがあったら、お金無いから頂戴って、いつも言ってるの?」


「お金を払う価値がない演奏を、施設の人に聞かせたいの?」「そういう趣味なの?」「Mなの?」「お金が無くても、欲しい物があったら何としても手に入れようっていうのは施設の方針なの?それとも、あなたの方針?」


質問攻めにしてたら、自分が常識のないことを言ってることに普通は気付いてくれるんじゃないかしら。甘い?


よほどのお馬鹿さんでない限り、分かるんじゃないかなぁ。

分からないから無料でって言ってくるんだろうけどね。

ただしこの質問攻めは、時間がある時でないと出来ない。
こういう時って、大抵、こちらが急いでたりする時にヒョイと言ってきません?


そしたら一言


「その施設で、あなたが無償労働してるんなら考えてみてもいいですよ 」

「その施設が、衣食住、職員も給料無しの、全てボランティアで賄っているなら考えてみてもいいですよ 」 と言ってみるの、どう?


よっぽどのお馬鹿さんでない限り、ご自分が何を言ったか気付くんじゃないかしら。


「なぜなぜおうむ返し作戦」と合わせ技もいいですね。


それよりも手っ取り早く、

「たかってるんですか?」「貧乏なの?」「乞食ですか?」「贅沢品にまで物乞いするんですね?」

と言ってみるのも手ですが、相手はいいことをしていると思い込んでいるので、恨まれる可能性大!!

勇気のある方はどうぞ。
責任は持てません。

 

冗談ばっかり言ってますけど、一番いいのは「都合が…」と言って詳しく答えないことでしょうかね。

あとは、

「こちらの演奏に価値を見出せない方からのご依頼はお受け致しかねますので、今回はご縁がなかったということで…」

なんて言うのがいいのかもしれません。


憤慨していたお友だちも、私も、ボランティア演奏したり、私はボランティアでヴォイトレやったりしているんですよね。


もちろん、そこでは嫌々ではなく、心からの気持ちで。

なぜそこでは出来て、他で頼まれたらやらないのか。

頼んでくる人の人柄でしょうかね。でも、初対面でもOKすることもあるので、何でしょうね。

無料でやってもいいと思わせる何かがある、というのもありますが、やはりお願いされる方の誠意というのが大きいです。

どちらもwin-winになるように考えています。

簡単に平気で知らない人に失礼なことを言うような人には想像もつかないと思いますが、詳しくは内緒にしておきます。